2025年10月から、公正証書の作成手続が大きく変わります。
日本公証人連合会の発表によると、いよいよ デジタル化 がスタートします。
これまで公証役場に出向き、署名押印をして紙の正本や謄本を受け取るのが当たり前でした。私も日常業務でよく利用しますが、依頼者にとっては「平日に役場へ行かなければならない」「印鑑証明を揃える」など、なかなか大きな負担でした。
しかし今後は、電子証明書を使った本人確認によって、インターネットを通じて嘱託が可能になります。つまり、来所せずにメールで依頼できるようになるわけです。
さらに「リモート方式」も導入されます。公証人とウェブ会議をしながら、画面に案文を表示して内容を確認し、その場で電子サインをすれば、公正証書が完成します。遠方にお住まいの方や、体が不自由で役場に行きづらい方にとって、大きなメリットになると思います。
公正証書自体も「電子データでの作成・保存」が原則になります。依頼者は紙で受け取ることもできますが、メールで受け取ったり、自分のUSBメモリに保存するなど、受け取り方が選べるようになります。押印も不要で、電子サインで完結します。
手数料のルールも一部見直されます。養育費については、これまで最大10年分で算定していたものが、今後は5年分を上限に。死後事務委任契約は通常の委任契約の半額に軽減されます。電子データ交付は1通2,500円、紙の交付は1枚300円といった新しい規定も整備されました。
もっとも、実際に利用するには、対応パソコンや電子証明書、ペンタブレットなどが必要になります。高齢の方などにはまだハードルが高いかもしれません。そのため、従来どおり紙での作成方式も残されています。
私自身、行政書士として公正証書の作成に関わることが多く、このデジタル化には大きな注目をしています。便利になる一方で、制度が動き出す最初のうちは戸惑うケースもあるかもしれませんが、確実に「オンラインでの公正証書作成」が普及していく流れだと思います。
当事務所の対応について
当事務所では、これまで通りの紙による公正証書作成のサポートはもちろん、今後始まる デジタル公正証書作成手続 にも対応してまいります。
- 離婚協議書
- 金銭消費貸借契約
- 養育費合意
- 任意後見契約
- 死後事務委任契約
など、公正証書の作成をご検討中の方は、お気軽にご相談ください。新しい制度を踏まえ、依頼者の状況にあわせて最適な方法をご案内いたします。