解体工事業の登録について:必要な手続きと要件

解体工事を行う際には、業者登録が必要です。これは、「建設工事に係る資材の再資源化等に関する法律(建設リサイクル法)」の施行に伴い、平成13年5月から義務化されました。元請・下請を問わず、解体工事に関わるすべての業者が対象です。

解体工事業の登録が必要な場合

もし解体工事を行う際に、500万円以上の案件を請け負う場合は、建設業の許可を取得する必要があります。しかし、すでに土木工事業建築工事業、または解体工事業の建設業許可を持っている業者については、この登録は不要です。

さらに、令和3年1月1日以降、申請書や添付書類、変更届出書に押印は不要となっています。この変更により、手続きが少しスムーズになりました。

解体工事業登録の要件

解体工事業を行うには、技術管理者の選任をはじめとした重要な要件を満たす必要があります。これにより、事業者が適切な施工管理と法令遵守を確実に行えることが求められます。

技術管理者の選任

解体工事業者は、技術管理者を選任しなければなりません。技術管理者とは、解体工事の技術的な管理を担当する責任者であり、その選任は登録申請の際に必要です。

技術管理者として選任されるためには、一定の基準を満たしている必要があります。基本的には解体工事の実務経験や資格が基準となります。

解体工事業の技術管理者に求められる基準

解体工事を適切に進めるためには、技術管理者の選任が欠かせません。技術管理者とは、解体工事の技術面を管理し、工事が適切に行われることを保証する重要な役割を果たす人です。では、技術管理者として選任されるために必要な基準を見てみましょう。

技術管理者の主な基準

  1. 学科と実務経験
    • 土木工学、建築学、都市工学など、国土交通大臣が定めた学科を在学中に修めた者で、実務経験を持つことが求められます。具体的には:
      • 高等学校卒業後、解体工事に4年以上の実務経験があること。
      • 大学卒業後、解体工事に2年以上の実務経験があること。
  2. 実務経験のみでの基準
    • 8年以上の解体工事に関する実務経験がある者。
  3. 講習を受講した者
    • 国土交通大臣が実施または認定した講習を受講した者で、さらに以下の条件を満たしている者:
      • 高等学校卒業後、解体工事に3年以上の実務経験があること。
      • 大学卒業後、解体工事に1年以上の実務経験があること。
  4. 実務経験と講習の組み合わせ
    • 国土交通大臣が実施する講習を受講し、7年以上の実務経験を持つ者。
  5. 技術検定の合格者
    • 1級または2級の建設機械施工技士や土木施工管理技士、建築施工管理技士の資格を持つ者が該当します。
  6. 建築士免許
    • 1級または2級の建築士の免許を持っている者。
  7. 技能検定の合格者
    • 1級のとび・とび工の検定に合格した者、または2級の検定に合格して解体工事に関して1年以上の実務経験を有する者。
  8. 技術士
    • 技術士法による第2次試験のうち、建設部門の試験に合格した者。
  9. 解体工事技士試験の合格者
    • 「解体工事施工技士試験」または「建設リサイクル施工技士試験」に合格した者。
  10. 同等以上の知識と技能
    • 国土交通大臣が上記基準と同等以上の知識や技能を持つと認定した者。

欠格要件に該当していないこと

解体工事業の登録を行うには、申請者やその関係者が欠格要件に該当していないことも必要です。以下の事項に該当する場合、登録申請は受理されません。

  1. 虚偽の記載または記載漏れ
    • 申請書や添付書類に虚偽の記載がある、または重要な事実が記載されていない場合は、登録ができません。
  2. 建設リサイクル法の欠格要件
    • 解体工事業の登録が取り消され、2年未満しか経過していない場合。
    • 解体工事業の業務停止命令の期間がまだ経過していない場合。
    • 登録が取り消された法人の役員で、取り消し処分の30日前以内に役員だった者が、処分日から2年経過していない場合。
    • 建設リサイクル法に違反して罰金以上の刑に処され、その執行が終わった、もしくは刑の執行が不要になってから2年経過していない場合。
    • 暴力団員である、または暴力団員でなくなってから5年未満である者が関与している場合。
  3. その他の欠格事項
    • 技術管理者を選任していない場合。
    • 暴力団員などが事業活動を支配している場合。

どこに申請するの?

解体工事業の登録は、工事を行う地域の都道府県知事に対して行います。たとえば、栃木県内で解体工事を行う場合は、栃木県知事への登録が必要です。

登録の有効期間と更新

登録の有効期間は5年間です。更新を行う際には、有効期間満了の30日前までに更新申請を行う必要があります。タイミングを逃さないように、事前に準備しておくことが重要です。

登録手数料について

手数料は以下の通りです。

  • 新規登録: 3万3千円(栃木県収入証紙を使用)
  • 更新登録: 2万6千円(同じく収入証紙を使用)

申請書に収入証紙を貼付して手続きする形なので、事前に収入証紙を用意しておきましょう。

申請書類の入手と提出方法

申請に必要な書類は、栃木県の「栃木県電子申請システム」からダウンロードできます。書類はPDFやZIP形式で提供されているため、ダウンロード後に解凍して使用してください。

提出方法は郵送または持参です。郵送の場合は、レターパックや簡易書留など、記録が残る方法で送ることが推奨されています。また、返信用封筒が不要なケースもあるので、確認の上で手続きしましょう。

必要書類一覧

書類名法人個人備考
解体工事業登録申請書(様式第1号)法人・個人共に必須
誓約書(様式第2号)法人は代表者、個人は事業主が記載
実務経験証明書(様式第3号)技術管理者として選任される者で、実務経験が必要な場合に必要
卒業証明書国土交通大臣が定める学科を修めて卒業した場合に必要
その他の資格証明書等該当する資格の証明書を提出
登録申請者の調書(様式第4号)法人の場合は役員全員、個人の場合は事業主
登記事項証明書法人は必須、個人は未成年者の法定代理人が法人の場合に必要

※ ◎は必須書類、○は必要に応じて提出。


実務経験の証明

技術管理者として選任されるために、一定の実務経験が必要です。次の基準を満たしている場合、実務経験証明書を提出する必要があります。

  • 高等学校卒業後、4年以上(講習を受けた場合は3年以上)
  • 大学卒業後、2年以上(講習を受けた場合は1年以上)
  • 実務経験のみの場合、8年以上(講習を受けた場合は7年以上)

住民票の注意事項

技術管理者や事業主(法人の場合は役員全員)の住民票の抄本が必要な場合があります。ただし、住民票にはマイナンバーが記載されていないものを用意してください。マイナンバーが記載されているものは受け付けられません。

また、住民票や登記事項証明書は発行日から3ヶ月以内のものを提出する必要があります。


申請時の注意点

申請書類を揃える際、法人と個人では提出する書類が異なる部分がありますので、提出する前にしっかり確認しましょう。特に未成年者の場合や、法人の役員全員の調書提出など、ケースによって異なる書類が必要になる場合があります。


まとめ

解体工事業を営むには、適切な登録と手続きが欠かせません。特に、500万円以上の工事案件では建設業許可が必要になるため、事前に確認をしておくことが大切です。また、登録の有効期限も忘れずに、定期的にチェックしておきましょう。手続きが煩雑に感じる場合は、行政書士などに相談するのも一つの手です。

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